粉体層の通気(エアレーション)による圧力変化 : 上記の状態変化に対応する圧力変化を以下に示します。
チャネリング : スラッギングとともに,チャネリング(channelig)という語があります。これは,付着性粉体等で,粉体層内部に蟻の巣のような溝ができ,気体がその部分しか流れなくなるために,粉体層の均一な流動化ができなくなる現象をいいます。一般に,どちらも望ましくない現象とされています。 各種粉粒体の流動化特性 (流動化ダイアグラムとスラッギングダイアグラム) : Geldart,D. と Dixon,G. 2人の研究による,よく似たダイアグラムがあります。 横軸に粉粒体の平均粒径d(μm)をとり,縦軸に粉粒体の真密度と気体の密度との差 ρs−ρa(kg/m3)をとって,各種粉粒体の流動化特性を整理しています。
(1)A区分に属する代表的粉体にはPTA(テレフタル酸)粉体,PVC(塩化ビニル)粉体等があり,通気(エアレーション)による顕著な流動性向上と層の膨張があります。またエアの保持性能が大きく,通気を止めても層の収縮沈静が遅い特性があります。 (2)B区分に属する粉体には,例えば粗い砂等が含まれ,A区分の粉体より通気性が向上する反面,エアの保持性能は低下し,通気停止に伴う粉体層の収縮沈静が早い特性があります。 (3)C区分に属する粉体は微粉体であり,付着性がやや大きくなり通気してもチャネリングを形成して流動化しにくくなります。また,空気輸送においては管内付着が生じやすくなります。A区分との境界は不明確です。 <参考>(10μm以下の,通常では流動化しにくい粉粒体(例えば酸化チタン粉体等)を,強付着性粉体といいます。) (4)D区分に属するのは粒径2〜4mm程度のプラスチックペレットやチップで,間隙透過性が大きいため,流動化するには流速を大きくする必要があります。しかし逆に低速でのプラグ輸送には適しています。 流動化開始速度Umfの代表例 : (1)A区分に属する粉体では,Umf=1〜3 m/min (0.02〜0.05 m/s)です。 (2)D区分に属する流体では,Umf=20〜40 m/min (0.3〜0.8 m/s)です。 流動層の応用 : 以下の各種応用例があります。 (1) エアスライド (2) 垂直輸送(垂直気送) (3) 粉体の流動化輸送 (4) 粉体の流動化混合 (5) 流動化乾燥,加熱(冷却) (6) 流動層造粒 エアスライド :粉体を通気により流動化しながら,傾斜面を水のように輸送する技術です。 (自然界の似たような現象 : 土石流)
垂直輸送(垂直気送) :ホッパー等に入れた粉粒体を通エアにより流動化しながら,鉛直に立てた配管内を空送する技術です。
粉体の流動化輸送 :ブロータンクに投入した粉体を流動化し,排出性を向上させると同時に,かさ密度を低下させ,空気輸送する技術です。
粉体の流動化混合 :ホッパー,タンクに投入した粉体を流動化し,流動性を向上させた状態で,混合を行う技術です。
粉体の流動化乾燥,加熱(冷却) :付着性のある粉粒体(例えばゴム等)を乾燥,加熱(冷却)する際には,粉粒体を流動化しながら乾燥,加熱(冷却)すると塊ができず,効果的です。 |