またPM(微細な粒子状物質)のうち粒径10μm以下のものをSPM(Suspended Particulate Matter)といい,最近では粒径2.5μm以下のPM2.5が注目をあびています。 これらには(a)自動車や工場の排ガスなどに起因する浮遊粉塵や(b)酸性雨・光化学スモッグ中の微粒子(硫酸粒子と有機物粒子),(c)エアロゾルなどが含まれ,太陽光線を遮ったり,それ自身が化学反応を起こしたりして,地球表層の環境をコントロールしているといわれています。また,それ以外にも大気汚染物質として,健康への悪影響が心配されています。 特に,平成25年1月中旬以降,中国では,家庭で発生する暖房用石炭の燃えかす,工場からの煤煙,自動車の排ガスなどが原因で広範囲に大気汚染が発生しています。これはPM.2.5と呼ばれる微細な(=大きさ2.5μm以下)粒が空気中に大量浮遊しているためですが,それが日本国内にも大量飛来していることが大きな問題になっています。 (a) 『中国大気汚染 日本迫る』(2013,1,31読売新聞(夕刊)より引用) −九州などで確認 春,顕著に−(高速閉鎖 受診急増 北京)
(1)ディーゼル車の排ガス中の成分と外観 排ガスに含まれるものには,目に見えるものと目に見えないものがあります。 <排ガス中の成分>
(2)ディーゼル車の排ガスと健康の関係 (A) 「東京大気汚染訴訟」判決 :平成14年10月29日(東京地裁) ディーゼル車の排出ガスが原因で健康被害を受けたとして,東京都の住民99人がメーカー7社と国などを相手取り損害賠償を求めた訴訟です。 判決では,国,東京都,首都高速道路公団の責任を認めた一方,メーカーの責任については病気と排ガスの因果関係が証明されないとして,認めませんでした。 (B)「ディーゼル車排ガスと花粉症の関連に関する調査委員会/報告書」: 平成15年5月,東京都の依頼による調査結果が出されました(会長:柳川洋 埼玉県立大学学長)。 この調査では,ディーゼル車排ガスと花粉症との関係を明らかにすることを目的として,疫学調査を中心に環境調査,花粉症発症メカニズム調査が総合的に実施されました。 主な結果は,以下のように報告されています。 <調査結果の概要>
(C)「ドイツ環境省の報告書(2018年3月8日)」: 『主にディーゼル車から排出される二酸化窒素(NO2)が,2014年にドイツで6,000人の早期死亡につながった』とする驚きべき報告書が発表されました。 (3) 最近の自動車排出ガス規制について :
(4) 最近の環境問題に伴う次世代自動車の開発について : G20サミット(主要20カ国首脳会議,2020年11月21〜23日)でも取り上げられた環境問題。 ここにきて世界は,大気汚染防止というより地球温暖化(CO2量減少)の観点から,近い将来,ガソリン車やディーゼル車の販売を禁止し,EV(電気自動車)へと切り替える動きが急加速しそうです。 (しかし,その電気を供給するために,火力発電が増えて大気汚染が進むなどすれば,本末転倒です。)
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