黄砂,酸性雨,光化学スモッグなど |
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雨粒の形 |
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<音声あり> |
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ありがたくない粉粒体(3) |
<粉粒体の部屋(8)> |
ここではありがたくない粉粒体の例(その3)として,黄砂,酸性雨,光化学スモッグなどを紹介しています。 |
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黄砂:中国西部から飛来する黄砂は,最近量が増え,健康被害など危惧されています。 |
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黄砂とは: |
黄砂は,例年3月から5月にかけて,中国大陸西部(黄河流域にあるゴビ砂漠やタクラマカン砂漠近辺)から飛来する砂のことです。
春先,中国大陸で,上空3,000mまで風に吹き上げられたものが偏西風によって運ばれ,日本などに降下するもので,その距離は近年,日本からアメリカ西海岸まで伸びています。
韓国など日本より飛来が数倍多い地域で,学童にマスクなどを配布している所もあるようです。
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(上の画像は,朝日新聞<平成19年4月2日付>から引用。) |
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(2) |
最近の発生状況: |
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平成19年4月2〜3日は,日本中の広い範囲(九州から東北地方)で観測されました。
黄砂は平成19年になってすでに10回以上の飛来がありましたが,今回は最も量が多く,視界も数kmに低下しました。以下は,滋賀県湖南市内の写真です。
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黄砂の飛来した日(4月2日)の景色
(曇って見通しが悪くなっています)
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普段の景色 |
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★(読売新聞 2007.4.3)によれば,
『黄砂は3〜5月に飛来するが,2003年に15日だった観測日数は31日(04年),43日(05年),42日(06年)と増加傾向にある。環境省は03年から,上空6,000mまでの1時間ごとの濃度や分布量の観測を始め,現在は松江市や札幌市など全国9か所で測定(注)。今月中に観測データをインターネットで公開する』ようです。
(注)札幌市,仙台市,新潟市,茨城県つくば市,富山県射水市,松江市,長崎市,長崎県五島市,沖縄県国頭村
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大きさ,形状など:
粒径は一般に5〜50μmと小さい,とされています。しかし,この日実際に建物の屋上に紙を敷いてサンプリングし,顕微鏡で観察してみたところ,以下の写真のように,大きな粒では約300μmもありました。また形状については,必ずしも球状ではなく,角張っていることが確認できました。しかしこんなに大きいと,大気中に浮遊するのは難しく,本当に黄砂だろうかという疑問も湧いてきます。これについては、いつかもう一度観察してみたいと思います。
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健康への影響:
中国や韓国など発生源に近いところでは飛散量が日本より数倍多く,そのため眼病,呼吸器系の障害,皮膚の障害のあることが社会問題化しているようです。
また最近では,表面に凹凸のある黄砂に吸着して飛来するVOC(有機性揮発物質)の害も憂慮されています。
屋外でのVOCは,化石燃料の燃焼や山林火災で発生するスス,農薬などにより発生し,これが地球上に何千kmにも渡り飛散していることになります。
これらの調査研究も最近ようやく始まったばかりのようです。
★朝日新聞 (2007.4.2)より
『鳥取県環境衛生研究所が05年,黄砂が観測された日の大気の成分を調べたところ,健康への影響が疑われているマンガンやヒ素が通常より高い濃度で検出された。中国の上空を通過する時に大気汚染物質が付着した可能性があるという。』
★日刊工業新聞 (2007.3.14)より
『金沢大学大学院と中国科学院の共同研究グループは,春先に偏西風に乗って日本に到達する黄砂に微生物が含まれている可能性を明らかにした。黄砂の主要発生源である中国北西部のタクラマカン砂漠の上空100mで空気中の粒子を採取し,地上と同一の微生物を見つけた。外来の微生物が日本にやってくれば,生態系への悪影響のほか,呼吸器系疾患などの原因になる可能性がある。』
★「空飛ぶ納豆菌」〜黄砂に乗る微生物たち〜岩坂泰信著 (2012.12.4)より
『黄砂にはいろんな菌が付着したまま,数千メートルもの上空を飛来して来る。その中には,本物の「納豆菌」も含まれている。金沢大学の先生と,地元業者の熱意によって,その菌から納豆が作られ,2012年10月からは北陸地区の百貨店やスーパーでも販売されている(要旨)』とのこと。
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酸性雨とは: PH5.6以下の酸性の雨をいいます。
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(a)雨(雨粒)は雲の水滴(直径10〜20μm)が集まってできた粒体(粒子)です。
雨粒子の大きさは,通常直径1〜4mmで,雷雨の時などではそれ以上になります。
また雨粒は,通常は表面張力により丸い形をしていますが,強く降る時は空気抵抗を受けて扁平になるようです。
(b)酸性雨は,PH5.6以下の雨をいい(注),主に自動車や工場,火力発電所が出す硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が,大気中で硫酸(H2SO4),硝酸(HNO3)に変わり,それが雨水に溶けてできます。そして,酸性の霧や雨,雪が降ってきます。
(注)現在の大気中には約370ppmのCO2が存在し,これが水に溶け込んでPH5.6になっています。
酸性雨により,森林が被害を受け(枯れる),土にしみこんでCaやMgと反応を起こし(生育不足),また,湖ににとけ込んで魚を死なせます。
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すす:−中国の工業地域で発生する「すす」が北半球を汚染−(読売新聞,2005,5,14より) |
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『中国の工業地域などで発生する「すす」が北半球の大気汚染を悪化させ,北極の海氷や氷河の減少を早めている可能性の高いことが,米航空宇宙局(NASA)ゴダ−ド宇宙研究所の分析で明らかになった。
世界全体のすすの2/3は工業活動が原因で,その半分が中国を中心とする東アジア地域で発生していることを突き止めた。
中国の「すす」は日本にも深刻な影響を与えている。同研究所の計算によると,西日本上空のすす濃度は,5,00〜1,000ナノ・グラム/1m3で,北米や欧州の最大汚染地域の2倍以上になってしまうという。』
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光化学スモッグ |
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光化学スモッグは,ディーゼル車の排気ガスや工場の煙に含まれる窒素酸化物,炭化水素などが紫外線と反応(光化学反応)して発生する光化学オキシダント(=オゾンや2酸化窒素)のことです。
白くモヤがかかったようになり,目がチカチカし,頭痛がするなどの症状が報告されています。
気温が高くて日差しが強く,風があまり吹いていない日に発生しやすいことが知られています。
(a)注意報の発令(都道府県知事) :
オキシダント濃度が0.12ppmを越え,その状態が持続すると予想されるとき。
(b)警報の発令(同上) :
オキシダント濃度が0.24ppmを越え,その状態が持続すると予想されるとき。
(c)重大事緊急報の発令:
オキシダント濃度が0.40ppmを越え,その状態が持続すると予想されるとき。
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**** 8,9日光化学スモッグ注意報 中国の汚染 「流入」(毎日新聞<2007,5,12夕刊>より)****
『光化学スモッグ注意報が8,9日に全国で相次いだのは,中国の大気汚染が日本に流入する「越境汚染」が原因である可能性の高いことが12日,国立環境研究所などのシミュレーション分析で分かった。梅雨入り前までは同様の状況が周期的に訪れる恐れがあるという。
環境省のまとめによると,8日は福岡,長崎,熊本,山口,広島の5件が注意報を発令。翌9日は九州から栃木,群馬,新潟各県までの22都府県で注意報がでた。5月としては,過去5年間で最も多い発令になったという。
汚染物質の6〜9日の移動状況を分析した結果,6日に中国上空に有った,日本の大気基準以上の高濃度の汚染物質(光化学オキシダント)が徐々に東に移動,7日から9日にかけて日本上空一帯に達していた。
8日の注意報は中国からの流入が原因の可能性が高く,9日に東日本まで広がったのは,「越境汚染」に加え,日本国内の大都市の大気汚染も関係しているという。』
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たばこの煙 |
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煙を構成するたばこの粒子は,0.01μm〜0.1μm程度の大きさで,超微粉の分類に入ります。 |
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<参考文献> |
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1 |
「空飛ぶ納豆菌」〜黄砂に乗る微生物たち〜岩坂泰信著,PHP研究所発行,2012,12,4
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