直線上に配置

春日神社のオコナイ
(琵琶湖の周辺(60)) 
(平成22年3月14日撮影)


<音声あり>



3月14日(日)は,東近江市(旧愛知郡愛東町)にある春日神社のオコナイ(春の例大祭)でした。

春日神社は奈良の春日神社から分祀されたもので,現在4つの集落(曽根,妹(いもと),中戸,鯰江(なまずえ)の氏神となっていて,6つの宮座(大神社,辨(弁)水,神部,田楽,星生,新幣)があります。
ここのオコナイは,「
板御幣」ともいう,雪かきのような絵馬を書いた板につけた飾り,および竹にさした栗と干し柿の神饌(「もの盛り」)に特徴があります。 (板御幣は,用水をせき止め,田畑に引き込むために用いる板を象徴し,6つの宮座はそれぞれ神を宿した用水板を持っていることになります。)

宵宮では,公民館で,準備が終わった皆さんから貴重な話を聞いたり,資料を見せてもらうことができました。ありがとうございました。


宵宮(3月13日)以下の各行事が行われます。
(a)「衣装清めの儀」と「降神際」:清められた衣装(カミシモ)を着て,本殿から祭神の板御幣を各宮座に持ち帰ります。
(b)「垣結い」:縁側に新しい砂を入れて垣根を設けます。
(c)「もの盛り」:杉の葉をつめた木桶に半分に割った竹(オナゴ竹)をさし,先端に「栗」と「干し柿」を刺します。少ない物で100本,多い物で120本です。 その後,餅をつき,12個または13個の餅を桶にいれて神饌とします。
夜は灯明を灯し,神主による「
当屋清めの儀」がおこなわれます。
春日神社 垣結い 昔使われていた当屋を決めるくじ
主な神饌(左:神部,右:辨水)  神部(かんべ)の板御幣 辨水(べんすい)の板御幣
木桶に杉の葉を詰め込み,丸く刈りこんであります。そこに長さ60cmの
半割にした篠竹を刺し,上方に栗と干し柿を刺してあります。
平年は12個,閏年は13個の餅を納めることになっています。

本日(ほんび)(3月14日):
格の高い「大神社(おおじんじゃ)」を先頭に6つの宮座が神社前で合流し,順に神社に渡ります(入ります)。
この時,おもしろいことに,わざわざ拝殿の中を通って本殿まで行きます。
神饌を届け終わると,拝殿にて神主を中心に祭典が行われます。念入りに,かつ厳粛に行われるため,かなりの時間を要します。
子供みこし 春日神社に向けて
大神社から

「もの盛り」は手に持ちますが,
餅は担いでいます。
拝殿の中を通った後,
本殿へと階段を登ります。
本殿前に整列します。 本殿に供物が並べられます。
これから式典が行われるところです。
優雅な舞いが奉納されます。
子供みこしも豪華です。

本日(ほんび)(3月14日):直会
式典終了後,直会(なおらい;ここでは「しゅうし」)が行われます。 この際,最上格の「大神社」のみ拝殿で行い,残りの5つの宮座は,拝殿と鳥居の 間で陣膜を張り,区切って,ゴザをひいた所で行います。 なお,この陣膜内は女性禁制となっています。
大神社の皆さんは拝殿にて 料理は意外に少ないです。
参道の左側 参道の右側

<参考文献>
1 「オコナイ 湖国・祭りのカタチ」:中島・上田・原田著,中島監修,INAX出版発行,2008,6,15 
2 「滋賀の百祭」:大塚虹水著,京都新聞社発行,1990,10,27 
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