直線上に配置

龍潭寺と沙羅双樹の花
(りょうたんじ)
琵琶湖の周辺(44)           (注.)本物の沙羅の花こちらです。
(平成18年6月17,30日撮影) <音声あり>

龍潭寺 :

滋賀県彦根市に在る龍潭寺(りょうたんじ)では,6月になると沙羅(双樹)花が咲くというので見てきました。ここには樹齢400年という沙羅の木<注,正確には夏椿があります。

 龍潭寺は,天平5年(734),行基により遠州国(静岡県)引佐郡井伊谷郷に開かれたお寺で,慶弔5年(1600年)<関ヶ原の戦い後>,井伊直政佐和山城主となった際に移設された,井伊家とゆかりのもつ臨済宗妙心寺派の名刹です。

 
この寺院は全国有数の禅寺として,また庭の寺」・「だるまの寺として知られており,庭は,方丈南庭ふだらくの庭,書院東庭蓬莱池泉庭が有名です。
また,だるまについては,毎年4月1〜2日に行われる
だるま祭りが有名です。「だるま祭り」は,元禄年間に始まったもので,大小3,000個のだるまを祀り,開運を祈願する多くの参拝者で賑わいます。
 
 
また松尾芭蕉門下の森川許六(きょりく )の描いたとされるふすま絵が,山水・人物・花鳥・鳥獣などを画題として多数描かれており,彦根市指定の文化財になっています。
(注)
龍潭寺は,彦根城の近く,かって佐和山城のあった佐和山のふもとにあります。
佐和山城は,慶長5年(1,600年)天下分け目の戦いとなった関ヶ原の戦いで,豊臣方の総大将であった
石田三成が東国へのにらみをきかせた城でした。佐和山は標高232m,彦根市を見下ろす小高い山で,ここに5層の天守閣を有する佐和山城がそびえていたようです。しかし,関ヶ原の敗戦による落城後は跡形もなく壊され,石垣などは新たに建造された彦根城に運搬,利用されました。



佐和山
(彦根城から望む。写真左方に
龍潭寺,清涼寺が見えます。)
彦根城



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    龍潭寺
参道
参道には,関ヶ原の戦いの時に,佐和山城主でもあった石田三成の銅像も有りました。
  中門
中門の屋根瓦
当時は常に150名もの学僧がいて,ここで学んだ造園施工技術を各地に伝えたそうです。
「蓬莱庭園」 「ふだらくの庭」
江戸時代に小堀遠州らにより築かれた名庭で,佐和山の峰を借景にし,築山は過去現在未来すべての仏を祀る浄土の世界を表しているようです。

一面に白砂を敷き,大小48石を配して観音菩薩の浄土である補蛇落山(ふだらくせん)の一帯をかたどったとされる江戸時代初期の枯山水の名庭です。
(中央の立石が観音様,白砂は大海,砂紋はさざ波,杉垣は水平線,その外の生垣は雲,・・・などの意味があるようです。)
4月1〜2日のだるま祭りでは約3,000個のだるまが並びます。
廊下にあった大きなだるま

いろんな表情のだるま
ふすま絵(森川許六作) 桃山時代に描かれたとされる画


沙羅双樹の花 沙羅双樹の花は,ご存じ平家物語の冒頭に出てきます。

祗園精舎の鐘の声,
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色
盛者必衰の理
(ことわり)を表す 。
おごれる人も久しからず,
ただ春の夜の夢の如し 。
たけき者も遂には滅びぬ,
(ひとえ)に風の前の塵に同じ

(口語訳)
祇園精舎の中にある無常堂の鐘の音は,
あらゆる物は常に移ろい行くと説く無常偈(むじょうげ)を響かせている。
釈迦入滅の折りに白く変わったという
沙羅双樹の花の色は,
盛んな者も必ず衰えるという道理を表している。
奢りたかぶっている人でも,そのさまが永久に続くわけではない。
それはちょうど,春の夜のはかない夢のようなもの。
勢いある者でもついには滅んでしまう。
それは風に吹き散らされる塵さながらの有様である。

<平家物語>
作者不詳。13世紀半ばには成立していたようです。治承・寿永の内乱から約50年
を経た頃から「平家物語」はその姿を次第に整えていき,中世を通じて大小様々な
改作の手が加えられたようです。
「保元物語」「平治物語」などと並んで,早くから琵琶法師の語りの題材とされました。

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 沙羅双樹は,お釈迦様が亡くなられた時、その四方を囲んでいた樹木で,それぞれに2本ずつ,対になって生えていたことから,そう呼ばれるようになったとのことです。

ただし,実際にはお釈迦様のおられたインドの沙羅双樹は日本には自生しておらず,日本では「夏椿」のことを沙羅双樹と呼んでいます。
朝に咲いて,夜には花が落ちることから,
「はかないもの」のたとえとされています。
 なお,本物の沙羅の花は3月中旬に,草津市立水生植物園で見られます。
(そのままの形で落花します。)

<参考>清涼寺について 以下は,龍潭寺の隣にある清涼寺です。
清涼寺は,井伊家が,関ヶ原戦での戦死者の供養のために,石田三成の家臣であった島左近の邸跡に建立した寺とされます。また,大老井伊直弼が座禅修行した寺としても知られています。
本堂左方には,樹齢500年とも伝えられる大きなタブの樹があります。
        タブの樹

<参考文献>
1. 「龍潭寺」パンフレット
2. あらすじで読む「日本の古典」,編者:小林保治,中経出版2004,3,30

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