宇宙の粉粒体(1)
宇宙の塵,彗星(すいせい)
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宇宙の塵という言い方があり,また地球や火星などの惑星も広い宇宙では,“粒”のようなものです。ということで,このHPでは,これらも独断と偏見で,“粉粒体”の範疇に入れることにしました。ここでは,変わった粉粒体の例として宇宙の「塵」,惑星,彗星について紹介しています。 |
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宇宙に広がる小さいかけらを表す表現として,宇宙の「塵」(ちり)という言葉が一般化しています。.
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(1) |
『宇宙の塵(ちり)/地球へ飛来』 (読売新聞 2003,5,14より引用)
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『火星と木星の間にある小惑星帯で起きた小惑星同士の衝突で,宇宙空間にまき散らされた20〜40μm大の塵が,1億5,000万km以上離れた地球に流星となって飛来していることを,神戸大理学部/留岡和重教授らのグループが地上の実験で明らかにした。
留岡教授らは,切り出した隕石(いんせき)片にステンレスの円盤(直径3cm,厚さ5mm)を高速でぶつけて小惑星の衝突を再現。隕石が水を含んでいると,塵と同様に細かく割れたが,水を含んでいないと小さな割れは出来なかった。衝突時に発声した熱で水が蒸発,隕石が膨張して微小の割れが出来たとみられる。』 |
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<小惑星の衝突を再現した実験で,塵と同じ大きさに細かく割れた水を含むi隕石> |
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『地上で見つかる塵の90%以上が水を含むため,留岡教授らは実験結果などから,水のある小惑星が衝突して作られ,小惑星帯から飛んで来たとしている。小惑星帯では1983年に塵の帯が見つかったが,塵の出来る仕組みはよくわかっていなかった。
地球に降る宇宙の塵は年間約30,000トン。すい星の尾を起源とする塵は大気圏への突入速度が速く,ほとんどが燃え尽きるとみられ,塵の多くは小惑星に由来すると言われてきたが,小惑星帯から直接飛来するのではなく,いん石が大気圏突入の際に砕けたと考えられていた。
成果は,英科学誌ネイチャーに発表。留岡教授は「水を含む小惑星は,太陽系の生まれた46億年前に出来たと考えられる。塵を詳しく調べれば,太陽系の起源を解明出来るかもしれない」と話している。』
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(2) |
「日本で初めて宇宙を見た人」:国友一寛斎1) |
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国友一寛斎は江戸時代後期に活躍した鉄砲鍛冶で,現在の滋賀県長浜市国友町出身です(1778〜1840)。日本で最初に反射望遠鏡を完成した人で,“日本で初めて宇宙を見た人”と言われています。
今年2009年は一寛斎生誕231年,そして一寛斎の反射望遠鏡が完成して176年です。
一寛斎は江戸で見た望遠鏡に刺激を受け,オランダ製を遙かに凌ぐといわれる反射望遠鏡を製作し,月や木星,金星,土星,太陽などを観察しました。その遺作である反射望遠鏡は今も4台が現存し,1台は長野県上田市立博物館にあり,残り3台は滋賀県内にあります。そのうち1台は長浜市長浜城博物館で展示されており,見てきました(平成20年2月)。
一寛斎の反射望遠鏡の優れているのは,通常の鏡ならばすぐに曇って見えにくくなるのに,170年以上経た現在でも,この望遠鏡の反射鏡が当時の輝きを保っていること。 その秘密は,鏡を構成する銅(Cu)とスズ(Sn)の合金鋳造において生じ易い「冷却時のひび割れ問題」を解決し,スズ(Sn)の高含有率化(30〜40%)を達成していることです。 |
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国友一寛斎の製作した反射望遠鏡
(倍率:70倍)(長浜城博物館にて) |
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詳細な月面図
(国友一寛斎の作) |
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国友一寛斎の肖像画
(山懸岐鳳作) |
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彗星(すいせい)
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(1)
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『すい星の塵採取/NASA探査機成功』(読売新聞 2004,1,4より引用)
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『米航空宇宙局(NASA)の探査機「スターダスト」が,日本時間3日午前4時40分),太陽系をめぐる「ビルト第2すい星」を取り巻く塵などの採取に成功した。
採取した塵やガスはカプセルに収められて,2006年1月に,地球に接近した探査機から米ユタ州の砂漠を目指して投下される。すい星の構成物質を地上に持ち帰るのは初めての試み。太陽系の起源や生命誕生の謎の解明に役立つと期待されている。
「スターダスト」はすい星の本体部分である「核」から約240キロまで接近し,約8分間かけて核の周辺や尾を通過。塵や氷,ガスなどを採取したほか,核の画像72枚を撮影した。』
↓サンプリング装置
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「スターダスト」の映像
NHK-TV提供(2006,5,5) |
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ネット状の装置でサンプリング中
NASA提供 |
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『すい星の塵 到着』(読売新聞 2006,1,16より引用)
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『世界で初めてすい星の塵を地球に持ち帰る米航空宇宙局(NASA)の探査機「スターダスト」は,15日未明(日本時間15日午後),塵の入ったカプセルを予定通り放出,カプセルは同日午前5時10分頃(同午後7時10分頃)に米ユタ州中西部の砂漠に無事着地した。
「スターダスト」は7年前に打ち上げられ,2004年1月2日にビルト第2すい星から約240キロの地点を通過した際,無数の穴を持つ素材を並べたテニスラケット形の捕獲器を船外に展開し,すい星がまき散らした塵や宇宙空間に漂う塵を採取した。』
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『直径約80cm,重さ46kgの円盤形カプセルは,内部の捕獲器に,髪の毛の太さの約1/10しかない塵の粒を約2,000個以上収めていると期待される。
その分析により,太陽系の起源解明が進みそうだ。カプセルは放出後,約4時間で大気圏に突入。
西のオレゴン州やネバダ州上空をかすめるルートを通り,パラシュートを開いて着地した。』
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カプセルは,お鍋をひっくり返したような外観になっていて,真ん中で上下に割れる構造でした。 |
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NASA提供 |
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NHK-TV提供
(2006,5,5) |
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---東大総合研究博物館での展示『彗星の踏査』にて --- |
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(採取された「塵」が展示されていたので,見てきました。)<平成19年12月15日> |
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「塵」の分析写真
(画像はNASA提供) |
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『採取された「塵」の分析には,様々な最新の分析技術が適用されています。その結果,塵の化学組成は太陽系の平均的な化学組成に近いことが分かりました。これは彗星が太陽や惑星の材料であったことを示しています。
またそれだけではなく,小さな塵には太陽系の大きな謎が隠されていました。それは,塵の一部に,高温で作られる結晶質珪酸塩が含まれていたことです。彗星が誕生した場所は太陽系でも低温であったと考えられているにもかかわらず,なぜ高温でしか作られない結晶質の塵があるのか? 太陽系ができた頃に非常に大きなスケールで物質の移動や循環があった可能性が指摘されています。』(説明パネルより) |
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(2)
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『彗星(すいせい)の構造 初めて解明』(読売新聞 2007,5,20より引用)
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『夜空に尾を引く「ほうき星」として親しまれている彗星(すいせい)の構造が,世界で初めて明らかになった。これまで考えられていたような岩石や氷の粒の塊ではなく,表面に炭素や岩石の微粒子からなる厚さ1m以下の層があることを,国立天文台の研究チームが突き止めた。太陽系の起源にも迫る成果で,20日付けの天文学専門誌アストロフィジカル・ジャーナルで発表する。
国立天文台のチームは,2005年に米航空宇宙局(NASA)の探査機が天ペル第1彗星へ金属塊を衝突させた実験を,ハワイのすばる望遠鏡で観測。衝突で宇宙空間に砕け散った細かな破片の分布から,彗星の構造を推測した。
衝突2時間後の画像では,1,000分の1ミリ(注,=1μm)以下の小さな岩石や炭素の粒子が,彗星を中心にドーナツ状に分布していた。これは,これらの粒子が,金属塊の衝突から極めて短時間だけ放出されたことを意味しており,この結果から,表面から厚さ0.4〜1mに,岩石と炭素の微粒子からなる層があると結論づけた。』
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