変わった粉粒体-1
 古代米,蜜入りリンゴイチョウ,RDF/RPF造粒ペレット,木粉,古紙/PETボトル粉砕品
<粉粒体の部屋(6)-1> <音声あり>

ここでは,変わった(珍しい)粉粒体の例を紹介しています。 <音声有り>

古代米・・・・・・・・<参考>米の起源については,粉粒体の部屋(4)-2で記述しています。
古代人(かっての日本人やアジアの民族)が食べていた,あるいは楊貴妃が食べていたとされるお米は,以下の特徴があります。

 (a)玄米が,赤や黒や緑色をしている。
 (b)稲穂に,針のような芒(のぎ,ヒゲ)を持つものが多い。
 (c)生命力が強く,荒れ地で無肥料・無農薬でも丈夫に育つ。
 (d)背丈の長い稲が多く,2mを超えるものもある。
 (e)稲が実ったころ籾(もみ)がひとりでにこぼれ落ちやすい(脱粒しやすい)。
 (f)現代米と比べると,収穫量は少なめである。
 (g)現代の米には無い栄養成分が含まれ,健康に良いとされる。

 なかでも
黒米はこの傾向が顕著で,慢性病患者,回復期の病人などに効き,腎臓病に良く,また白髪が黒くなるなどの効果が指摘されているようです。
 これは,米の表面(糠(ヌカ))に栄養成分(各種ビタミン類(B,Eなど),ミネラル(P,Caなど))が含まれ,抗酸化性も有しているためと考えられています。



(1)黒米

 
黒米は外観が黒く,大きさはやや小さめです。
 そのうるち米(=粘りの少ない米)と餅米の
稲穂も,やはり黒いです(↓写真)。
 白米に少し(スプーン1杯)混ぜたら,赤紫色のご飯が炊けました。これは抗酸化物質の紫色色素(
アントシアニン)を含むためです。黒米は,おはぎの起源とされていますが,どちらかというと赤飯に似ています。

黒米 黒米(うるち米) 黒米(餅米) 黒米 炊飯後
<品種:おくむらさき>

*******************************************************
「黒米成分に育毛効果 (日刊工業新聞2002,9,12より引用)

日本M化粧品は,11日,生薬として使われてきた黒米のエキスに育毛効果のあることを発見したと発表した。毛髪の根本を包んでいる毛包を太くし,毛髪を太く育てる効果のあることを突き止めた。このエキスを配合した育毛剤「M薬用育毛液○○」を10月20日に発売する。

 
黒米は中国で滋養強壮剤や老化防止に効果があるとされており,最近国内でも健康米として販売されている。そのエキスに毛髪の成長因子の一つであるHGFの分泌を促進し,毛包の成長を開始させる働きと,その毛包を太くする増殖作用のあることがわかった。(以下,略)


(2)赤米

 赤米は外観が赤く,大きさは黒米と同程度です。
 
赤米のうるち米ともち米の稲穂
は,
真っ赤な長い芒
(ノギ,ヒゲ状のもの)に特徴があります。

 赤米は,赤色系色素タンニンと栄養分を多く含んでいます。ご飯に炊いたら,薄いピンク色になります。赤米は赤飯の起源と考えられていますが,色は上記のように,むしろ黒米の方が似ています。

赤米 赤米(うるち米) 赤米(餅米) 赤米 炊飯後
<品種:神丹穂>

<参考>
フジTVの「晴れたらイイねッ」の番組中で,赤米の紹介がありました。

(3)緑米

 緑米は外観が緑っぽく,大きさはたの米とほぼ同じです。しかし,稲穂は黒いものでした。
 
緑色の理由は種皮の部分に緑色系色素(クロロフィルを含むためとされています。
  
緑米 緑米(餅米) 緑米 炊飯後

(4)短桿種(たんかんしゅ)

 
一般に古代米は,通常の稲よりかなり背が高いようですが,この種類は高さが30〜40cmほどしか無く,また米も丸く,珍しい古代米です。

中央が短桿種

蜜入りリンゴ
丸い果物リンゴ」の中には,中央部にが入っていてすごく甘いものがあり,どうしてできるのか不思議です。


縦方向,横方向に切ってみると,芯の周りに「」が入っていて,これが甘い原因のような気がしますが,どうもそうではなさそうです。 リンゴの葉にできたデンプンが水に溶けやすいソルビトールというものになり,これが実の中央部に運ばれ,酵素の働きで果糖蔗糖に変わる結果,甘くなるようです。

充分甘くなると
酵素の働きは弱くなり,ソルビトールのまま芯の周りに貯まります。これが「」のように見えるのですが,これ自体はそれほど甘くない。。。(食べ頃というサインではあります)。

蜜入りリンゴになりやすいのは「
ふじ」と「スターキング」で,尻が黄色や赤色なら甘いようですが,どうなんでしょうか? (「津軽」や「ゴールデンデリシャス」は蜜が入りにくいそうです。)

  
   銀杏(イチョウ)
   
 イチョウには雄花の木と雌花の木があります。受精のしくみはどのようになっているのでしょう。
   
             
 
再生ボタンを押してください
ミクロワールド 精子が泳ぐ イチョウの不思議』 
NHK-Eテレ(2020年1月14日)
より引用
    
     

(1) RDF(Refuse derived fuel)(ゴミ固形燃料)
 一般廃棄物(生ゴミ,紙くず,廃プラ等)を破砕・乾燥し,腐敗・発酵防止のため生石灰や消石灰を混合した後,加圧・圧縮し,棒状に成形した固形燃料です(写真参照)。
 加圧・圧縮は,リング・ダイ方式 (多数の回転式ロールで圧縮しながら,穴から連続的に押出す方法)やスクリュー押出などで行います。

     リングダイ方式 スクリュー押出方式

 できたRDFはサイロに貯蔵しておき,燃料にします。高温で燃焼できるため,ダイオキシンの発生量を抑えることができ,発電(「RDF発電」)施設としても利用されます(焼却灰はセメント材料などに利用可)。

 RDF製造工場は全国で50カ所以上あり,またRDF発電施設としては稼働中または建設中のものが,全国で4〜5カ所あります。
  (@九州・大牟田RDF発電事業(出力26千kw),
   A三重県企業局(多度津町)(出力12千kw),
   B石川県能登広域プロジェクト,
   C広島県福山リサイクル発電(出力20千kw),
   D鹿島共同再資源化センター(出力3千kw)など。)

 
しかしRDFは,水分を含むため,貯蔵中に発酵して可燃性ガスを生じやすいという問題点も指摘されています。三重県多度津町でのRDF貯蔵タンクの爆発事故(平成15年8月)では,三重県事故調査専門委員会が報告書において,RDFが、貯蔵槽内に流入した空気中の水分などを吸収したことで発酵して発熱,さらに,RDF内の有機物が酸化反応を起こし,発火するほどの高温に至った。」としました。また,事故当時,発酵や酸化反応で発生した可燃性ガスが貯蔵槽内に充満していたとして,爆発はガス爆発と断定しました。しかし,火種については特定に至りませんでした。


(2) RPF(廃プラと古紙を原料とした燃料)

 最近,RDFに外観がそっくりのRPFというものが実用化されています。これはRefuse Paper & Plastic fuel の略で,PVCを含まない破砕したプラスチックと,破砕した紙類とを混合し,リング・ダイ方式で成形したもので,燃焼性が良く,利用が期待されています。
 具体的な利用としては,@ボイラー,乾燥機等の燃料,A高炉吹き込み用コークスの代替,Bセメント焼成キルンでの石油燃料の代替などが考えられています。

   
       
   RPF(小)   RPF(中)    RPF(大)   
     

下水汚泥から製造したバイオマス燃料
 下水を処理して無害化,再利用することはできても,汚泥(特に下水汚泥の処理が問題でした。
従来は埋め立てか焼却処理が一般的でしたが,最近,これを直径数mmの
ペレットや粉状の活性炭に変えることによって,ハンドリング性(貯蔵,排出,供給,輸送など)を向上させることが可能になりました。

その後,肥料として利用したり,火力発電所等で燃料
(バイオマス燃料)の一部として使用することが検討され,一部では実用化されています。

下水汚泥の造粒ペレット

木粉(もくふん)
 木材を細かく切断,粉砕して作られたものです。
用途例として,これを接着剤と共に散布し,加熱・加圧してつくられる
建材用パーティクルボードや,接着剤無しで押し固めた木質ペレットなどがあります。

木粉(粒度粗い) 木粉(粒度細かい)

古紙粉砕品
 電気製品等の緩衝用梱包材として,発砲スチロールの他に,古紙粉砕品を原料としたものがあります。
古粉を機械で破砕した後澱粉等と混ぜ,熱圧着して,所定の形状に成形します。

 
破砕した古紙に澱粉,ポリオレフィン系樹脂を混合し,水蒸気で発砲させ押し出し成形し,建材用断熱材に加工する技術なども工業新聞に紹介されています。
 

古紙粉砕品 古紙成型品

PETボトル粉砕品
      ****PETボトルのリサイクルについて**** 

*********(軽金属通信 第4291号(2012,11,13)から引用)******************
 PETボトルリサイクル推進協議会は,「PETボトルリサイクル年次報告書 2012(平成24年)度版」を制作した。それによると,11年度のリサイクル率は85.5%で目標の85%以上を達成した。
 リユースでは,リユースに近い食品用途への再利用として,メカニカルBTBが開始初年となり,ケミカルBTBと共に使用拡大を見守りたいとしている。


  *********(日刊工業新聞(2007,4,23)から引用)******************
 PETボトル推進協議会による発表では,2005(平成17)年度のPETボトルの回収率は,PETボトルの生産量532,583トンのうち,事業系回収率は65.6%でした。
このうち,市町村回収率は,平成15年度の48.5%をピークとして,平成16年度は46.4%に減少しましたが,平成17年度は
47.3に上昇しました。
同協議会は,容器包装の3R推進に向けた自主行動計画を策定しており,2010年度の回収率75%以上の目標を設定しています。


 PETボトルが回収されると,まず破砕機により,10〜15mm程度に破砕されます。その後,(a)本体(PET)とラベル(PS)を気流分離し(軽いラベルを吹き飛ばす),(b)本体(PET)とキャップ(PE,PP)を水中で比重分離します(PE,PPは浮き,PETは沈む)。最終的に本体だけになったボトル破砕品は,空気輸送により後工程に送られます。

 後工程では,通常は,このボトル破砕品を溶かしPETチップ(ポリエステル樹脂)にします。これは,最終的にじゅうたんや作業服などになります。

 再生品の改良として,再生プラントでの後工程として,触媒を加えるなどの方法により,より純度の高いポリエステル樹脂を作る
ケミカルリサイクルも行われるようになりました。この方法なら,もう一度PETボトルを作ることも出来ます(⇒bottle to bottle)。
 日本では最初にT社が,次にP社が実用化し,他にも2社がそれぞれの方法でプロセスを開発しました。

(a)
ボトルの破砕直後
(ラベル,本体,キャップの混合品)

本体はPET,キャップはPE,PP,ラベルはPS(ポリスチレン)です。
この後,
気流分離法浮遊速度Utの差による分離法)により,ラベルのみを吹き飛ばし,除去します。

(b)
ラベル除去後
(白い破片はキャップ)

この後,
水中分離法によりキャップ(PE,PP)は水に浮かせて,本体(PET)は水に沈めて分離します。
注)それぞれの真密度ρs
・キャップ→0.9 (1未満)
・本体→1.3 (1以上)

*********(化学工業日報(2005,10,5)から引用)***************
 <ペットボトルリサイクルの入札制に疑問の声――中国への大量流出も>
 最近,PETボトルリサイクルに関連する重要な問題が出てきています。需要の高いPETボトルの入札制度の問題や中国への大量流出などで材料の安定供給が確保できず,システムが機能しない事態が起こっており,このままではシステム崩壊の危機に瀕すると危惧されています。

 (注);改正容器包装リサイクル法では,市町村からの“円滑な引き渡し”」が項目として設けられました。
  (平成18年12月施行)


     
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