粉粒体の特性と物性測定
<粉粒体の部屋(2)>
 粉粒体は個体でありながら液体のように振るまう特異な性質があります。そのような性質とその測定方法の紹介をしています。       
粉体の主な特性 :   
 粉体は本質的に固体ですが,微細な粒子の集合体特有の特性を有しています。それは気体・液体・固体でも無いいわば第4の物質の状態といってもよい存在です。
 
(1)流動性がある
 粉体は固体でありながら,「液体」の特性である「流動性」を有しています。これが粉体の材料としての価値をきわめて大きくしており,少しの外力を与えるだけで,粉体粒子の周囲に空間があれば容易にその位置を変え,移動させることができます。

 代表例として,
PVC粉体PTA粉体を挙げることができます。
これらを容器に入れ,底部には焼結金網や布を成形したキャンバス等を配置し,そこから空気などを吹き込むと,粉体は軽くなり,水のように流動(対流)を始めます。そして,ちょうどお湯をわかすときのように,気泡が発生し(「ボイリング」),抵抗が非常に小さくなります。

(参考) <粉体のボイリングおよび流動化の状況


<データ>
・粉体:PTA(テレフタル酸)粉体
    (PET樹脂の原料),
 平均粒径 80〜100μm
・流動層の直径:φ150mm(6インチ)
・空塔速度:約1m/min



底部から気泡がわき上がってきて,表面に出たところではじけています。
それに伴い,粉体が液体のようにボイリング,流動化しています。
       
 
流動化」に関するもう少し詳しい説明を,粉粒体ハンドリングの部屋(5)でしています。

(2)化学的に活性である
 固体が微細化されるにつれて,気体」のように軽く浮遊しやすくなるだけでなく,単位重量当たりの表面積(比表面積)が増大し,しかも表面はエネルギーを持っています。この特性によって,粉体の付着・凝集という現象が発生すると共に,一方では粉体を錠剤などに成形(=賦形(ふけい))できるようになります。

 また,粒子の接触部では大粒子の融点よりはるかに低い温度で
融着が起きるようになります(→「焼結」)。さらに静電気を帯びやすくなり,極端な例として,粉塵爆発が起きることもあります。


粉粒体の物性測定 
 粉粒体の物理的性質を把握するための測定方法には,各種あります。しかしそれらは,完全にはオーソライズされておらず,多くは経験的な方法によっているのが実情です。
 粉体物性(力学物性)のうち,主な測定項目を以下に記します。

(1)粒度分布
 粉体粒子の大きさの分布(範囲と含有率)を測定するものです。
  粉体は多数の粒子の集まりですが,それを構成する個々の粒子は,厳密には大きさが異なっており,ある粒度分布をもっています。そこで,一般には目開きの異なるいくつかの「篩
(ふるい)」を用いて,その目開きを通過する割合を測定し,積算(累積)重量百分率で表します。
 
また,数μm程度の微粉になると,篩は目詰まりしてしまうので,液体に分散させ,透過度分布を求めたりします(→粒度分布計)。
 なお,積算値50%の粒度を「平均粒径」とし,
d50=○○μmなどと表しています。




粒度分布の例@
典型的な粉体の場合
平均粒径d
50=150μm
・・・・・最小粒径45μmから最大粒径500μmまで分布しており,平均粒径d50は150μmです。



粒度分布の例A
半導体封止材粉体
平均粒径d
50=900μm
・・・・・これは,粒度分布が比較的広い粉体の例です。
(2)密度
単位容積当たりの質量をいいますが,これには,真密度かさ密度があります。
(a)真密度(粒子密度)
 文字通り真実の粒子密度です。この値が不明な場合は,液体もしくは気体置換法により測定されます。一般には,粉粒体では表面が滑らかではない場合が多いため,気体置換法が主体です。
(b)かさ密度
容器に「ゆるく」充填した場合の「ゆるめかさ密度」と,容器をタッピングしながら充填した「かためかさ密度」があります。
(c)圧縮度
 かためかさ密度に対する,かためかさ密度とゆるめかさ密度の差を圧縮度といい,この値を重要視しています。 これは,粉粒体のハンドリング(取り扱い)において,サイロやホッパーからの排出不良や,空気輸送での閉塞などのトラブルに大きく影響しやすいからです。

   
圧縮度(かためかさ密度−ゆるめかさ密度)/かためかさ密度×100 (%)

(3)安息角,崩壊角,差角
 安息角と崩壊角は,粉体層を形成させたときの,斜面と水平面とのなす角です。

(a)安息角
 測定方法にはいくつかありますが,最もポピュラーなのは,ロートなどを介して粉体を落下させ,富士山型に層を形成した時の斜面が水平面となす角を測定するものです(注入法)。 一般に安息角は,流動性の良い粉粒体ほど小さく,逆に粉体流動性の良くない粉粒体の場合には,大きくなります。




(再生ボタンを押してください)
(流動性の良い場合)
安息角=25°

(再生ボタンを押してください)
(流動性のあまり良くない場合)
安息角=45°
(b)崩壊角
 粉体層を,安息角の状態からショック(振動やハンマリング)でくずしたときの角度を表しています。

(c)差角
 安息角と崩壊角の差です。差角は,噴流性を判定する1指標になっています。
差角θ安息角θ1−崩壊角θ (°)

(4)均一度,凝集度,分散度
(a)均一度
 粒度分布の幅が広いか狭いかを表すものです。
積算値が10%となる粒度(粒径)と,60%となる粒度(粒径)の比です。
(b)凝集度
 粉体2gをとり,所定目開きの篩の上で振動させたときの,ダマになりやすさを表しています。
(c)散度
 粉体10gをとり,300mmの高さから落下させたときの飛び散りやすさを表しています。


(5)流動性指数,噴流性指数
 これらは測定項目ではなく,上記の各測定値((1)〜(4))を指数化し,それらの値を合計したものです。つまり粉粒体の物性を,流動性噴流性(=流れ性,排出性)に関して総合的に把握しようとするもので,Carr(カー),R,L が実験研究した方法に準拠するものです。
 これらの数値は粉粒体ハンドリングの容易さの目安になり,ホッパー等からの排出特性の予測に役立ちます。

     <流動性の程度と流動性指数 噴流性の程度と噴流性指数


(6)付着力
 粉体を円柱状半割セル(2個合わせると,直径5cm×高さ2cmになる)内に充填し,上から所定の圧力を負荷した後に,セルをそれぞれ反対側に引っ張り,粉体層を半分割します。その後,この力を断面積10cm2で除し,粉体の付着力としています。
 この値の大きさによって,粉体を圧縮したときの固まりやすさがわかり,この値が大きい粉体は,粉体の各種ハンドリングにおいて,トラブルを起こす確率が高くなります。


付着力の測定)

(7)剪断力(せんだんりょく) (摩擦力)
 厚さ5mm程度の均一な粉体層を形成後,金属板を置き,これに重りを載せた状態で板を引っ張り,金属面に対する剪断力(壁面)摩擦力)を求めます。また,可動板の下面の表面粗さを大きくして剪断力を求めることにより,内部摩擦力が求められます。
 これらの数値はホッパーの設計等に用いることがあります。


((壁面)摩擦力の測定) 内部摩擦力の測定)


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