直線上に配置

粉粒体の流動化装置
 
<粉粒体ハンドリングの部屋(5)>

 ここでは,粉粒体の流動化装置の概要を紹介しています。

粉体の流動化(fluidization)とは : 粉体層の底部から,粉体層に,多孔板(焼結金網 ・ ろ布 ・ キャンバスなど)を介して,空気や反応ガスを流すことにより,粉体を浮遊懸濁化(液体のような状態に)する技術をいいます。
 また,粉体層がそのような操作(流動化)によって,液体のような状態になったものを
流動層といいます。
 (下の動画参照。なお,(
粉粒体の部屋(2)の動画でも確認できます。)
<状態>流動化とボイリング
粉体:PTA(テレフタル酸)粉体(PET樹脂の原料),
 平均粒径 80〜100μm
・流動層の直径:φ150mm(6インチ)
・空塔速度:約1m/min

粉体層の通気(エアレーション)による状態変化 : 代表例を以下に示します。
     なお,流動層は(B)(D)の状態で,上記の動画は,
(C)の状態です。 

    
(A)   (B)   (C)   (D)   (E)
       
静止層   |←-------   --流動層--   ----------→|   輸送層
       流動化開始   気泡発生
(ボイリング)
  層の上昇/崩壊
(スラッギング) 
  輸送開始   
   (小)   <--------   -通気流速-   --------->   (大)   
          (空塔速度)          

  (A)通気流速(速度)の小さい条件では,気体は粉体層の空隙内を流れるのみで,
    粉体層は 静止状態を保っています.。


  
(B)流速が増加し,「粉体層の圧力降下(圧力損失)=粉体層の全重量」 のところから,
    粉体層は流動を始めます (→
流動化開始速度 Umf )。

  
(C)さらに流速が増すと,底部から気泡が発生してきます(→気泡発生速度Umb 

  
(D)さらに流速が増すと,層全体が塊状での上昇と落下・崩壊を繰り返すようになります。
     →これは
スラッギングといい,圧力が変動し,不均一な状態となっています。

  
(E)さらに流速が増すと,粉体粒子は浮遊・飛散し始めます (→浮遊速度Ut )。


粉体層の通気(エアレーション)による圧力変化 : 
    
上記の状態変化に対応する圧力変化を以下に示します。

A〜Bの範囲では,流動化していません(静止層)
B以降は流動化しており,層内を透過する圧損と,層全体の重量が釣り合っています。
E以上では,粒子が浮遊,飛散しています。
一般に,
B〜Dの領域が使用範囲です。




チャネリング :
  
スラッギングとともに,チャネリング(channelig)という語があります。これは,付着性粉体等で,粉体層内部に蟻の巣のような溝ができ,気体がその部分しか流れなくなるために,粉体層の均一な流動化ができなくなる現象をいいます。一般に,どちらも望ましくない現象とされています。


各種粉粒体の流動化特性
   
流動化ダイアグラムスラッギングダイアグラム
 :
 Geldart,D. Dixon,G. 2人の研究による,よく似たダイアグラムがあります。
 
横軸に粉粒体の平均粒径d(μm)をとり,縦軸に粉粒体の真密度と気体の密度との差
 
ρs−ρa(kg/m3)をとって,各種粉粒体の流動化特性を整理しています。


(Geldart,D.の流動化ダイアグラム) (Dixon,G.のスラッギングダイアグラム)

 
(1)A区分に属する代表的粉体にはPTA(テレフタル酸)粉体,PVC(塩化ビニル)粉体等があり,通気(エアレーション)による顕著な流動性向上と層の膨張があります。またエアの保持性能が大きく,通気を止めても層の収縮沈静が遅い特性があります。

 (2)B区分
に属する粉体には,例えば粗い砂等が含まれ,A区分の粉体より通気性が向上する反面,エアの保持性能は低下し,通気停止に伴う粉体層の収縮沈静が早い特性があります。

 (3)C区分に属する粉体は微粉体であり,付着性がやや大きくなり通気してもチャネリングを形成して流動化しにくくなります。また,空気輸送においては管内付着が生じやすくなります。A区分との境界は不明確です。
 <参考>(10μm以下の,通常では流動化しにくい粉粒体(例えば
酸化チタン粉体等
)を,強付着性粉体といいます。)

 (4)D区分
に属するのは粒径2〜4mm程度のプラスチックペレットやチップで,間隙透過性が大きいため,流動化するには流速を大きくする必要があります。しかし逆に低速でのプラグ輸送には適しています。


流動化開始速度Umfの代表例 
 
(1)A区分に属する粉体では,Umf=1〜3 m/min (0.02〜0.05 m/s)です。
 
(2)D区分に属する流体では,Umf=20〜40 m/min (0.3〜0.8 m/s)です。


流動層の応用  以下の各種応用例があります。
 
(1) エアスライド
 
(2) 垂直輸送(垂直気送)
 
(3) 粉体の流動化輸送
 
(4) 粉体の流動化混合
 
(5) 流動化乾燥,加熱(冷却)
 
(6) 流動層造粒


エアスライド 粉体を通気により流動化しながら,傾斜面を水のように輸送する技術です。
    (自然界の似たような現象 :
土石流

(1) 構造 (a) 多孔板の角度は10°以下(通常4〜8°)。
(b) 下部空間はエアチャンバー,上部空間は粉体輸送室。
(c) 輸送室の無いオープンタイプは,サイロ底部やバルク車底部,ブロータンク底部等に設置され,粉体の円滑な排出が可能です。
   
(2) 長所 (a) 大能力輸送が可能(単位断面積あたり能力が大きい)。
(b) 機械的可動部が無く,構造が簡単なのでメンテが不要です。
(c) 消費動力が小さい。
(d) 密閉式で運転できるので,粉体の飛散,異物混入がありません。
(e) 輸送に必要な圧損が小さい。
  
(3) 短所 (a) 流動化しやすい微粉体が適しており,粒体は適していません。
(注意点) (b) 吸湿性の大きい粉体,潮解性の大きい粉体等は適していません。
  
(4) 適用例 (a) セメント,PVC(塩ビ)粉体,PTA(テレフタル酸)粉体など


垂直輸送(垂直気送) ホッパー等に入れた粉粒体を通エアにより流動化しながら,鉛直に立てた配管内を空送する技術です。
 
(1) 構造 (a) 粉体を入れるホッパーは,輸送物の物性により,解放式(PTA粉体等の場合)と密閉式(主として粒体の場合)に分かれます。
(b) 下部空間はエアチャンバー,上部空間は粉体貯蔵兼輸送室になります。
(c) 多孔板から離して設けられている鉛直配管には,2次エア用配管が接続されています。
(d) 通常,鉛直配管上部にはセパレータが設けられます。セパレータを設けず,そのまま配管で所定場所まで導くこともできます。
  
(2) 長所 (a) 比較的低速(浮遊速度以上の気流速度)で高濃度輸送が可能です。
(b) 機械的可動部が無く,構造が簡単なのでメンテ不要です。
(c) 消費動力が小さく,高効率です。
(d) 粉体自身によるマテリアルシールがきく場合(PTA粉体等)は,上部解放で連続投入しながら同時に垂直輸送が可能です(右図参照)。
(e) 輸送に必要な圧損が小さい。
  
(3) 注意点 (a) 粒体では密閉式となり,通常はバッチ輸送となります
(上部にロータリーバルブを設ければ連続輸送が可能)。
(b) 吸湿性の大きい粉体,潮解性の大きい粉体等は適していません。
  
(4) 適用例 (a) PTA粉体(高さ約40m),脱脂粉乳等
 


粉体の流動化輸送 :ブロータンクに投入した粉体を流動化し,排出性を向上させると同時に,かさ密度を低下させ,空気輸送する技術です。

(1) 構造 (a) タンクの下部に多孔板(キャンバス,焼結金網等)を設けます。
(b) 下部空間はエアチャンバー,上部空間は粉体貯蔵/輸送室。
(c) 粉体を排出する方向により,以下の2タイプがあります。どちらもタンクを加圧するエアQ1と,輸送に付加されるエアQ2の2系統のエアからなっています。
    
下抜き
(セラー)式
上抜き
(フラクソ)式
(2) 長所 (a) 粉体を閉塞させずに排出,輸送できます。
(b) 流動化しにくい粒体にも適用可能です。
(c) 構造が簡単で,機械的可動部がバルブだけなので,メンテが容易
(d) 密閉式で運転できるので,粉体の飛散・異物混入がありません。
     
(3) 短所 (a) 上抜きタイプは,多孔板の上に,若干の粉体が残ります。
(b) 吸湿性のある粉体,潮解性のある粉体等では,工夫された装置が必要です。
  
(4) 適用例 (a) 各種粉粒体に多数適用されています。
小麦粉のバルク輸送車は下抜き(セラー式)の典型的な例です。

     
  粉体送り出し部 (Q1+Q2)
   

 以下はPVC粉体のタンクローリー車です。  
   
   
     粉体送り出し部(Q1+Q2)

(再生ボタンを押してください)

輸送経路は水平≒10m,垂直(鉛直)≒20m,曲がり3個所で,輸送圧≒0.17MPa(1.7kgf/cm2)となっています。


粉体の流動化混合 ホッパー,タンクに投入した粉体を流動化し,流動性を向上させた状態で,混合を行う技術です。 

(1) 構造 (a) 一般に,タンクの下部に多孔板を設けます。
(多孔板は,ポリエステル製キャンバスやSUS製の焼結金網が適しています。)
(b) エアを投入する方式により,以下の3タイプがあります。
    
(容量:10〜104 m3 (容量:1〜100 m3 (容量:10〜600 m3
エアチェンバの区画毎に流動化条件を変え,粉体を流動化混合する。
コーン下部から圧縮エアを間欠的に噴出させ,粉体を流動化混合する。
粉粒体を,ホッパー中央と周辺部で対流させ,混合する。
(多孔板無し)
(2) 特徴 (a) 粉体に限られる 粒体にも適用可能 粒体にも適用可能
大容量にも適用可能 圧縮エアが必要
重力落下式ブレンダよりエネルギーを要する


粉体の流動化乾燥,加熱(冷却) 付着性のある粉粒体(例えばゴム等)を乾燥,加熱(冷却)する際には,粉粒体を流動化しながら乾燥,加熱(冷却)すると塊ができず,効果的です。


                                                         
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