直線上に配置

粉粒体の造粒装置   
   <粉粒体ハンドリングの部屋(7)> ここでは,粉粒体の造粒装置(ぞうりゅうそうち)の概略を紹介しています。


造粒(granulation)とは 粉体や,粉体を溶かした溶液を原料として,粒体(=造粒物)を製造する操作です。このような操作は,経験的にも昔から生活の知恵として発達してきましたが,最近では,工業的にも重要な方法として確立されています。
 

造粒の目的 : 造粒の主な目的は,以下の2点です。
(1) 直接目的」そのものを得る。
(2) 間接目的粉体の物性((a)流動性が悪い,(b)付着性が大きい,(C)粉立ちがある,など)を改良する。
<例>
(a) 食品 粉立ち防止,速溶性の向上(速く溶かす),保存性の向上
(b) 製鉄,ガラス工業 所定配合比で混合,造粒(ブリケット化)し,安定した配合や反応条件の均一化
(c) 化学 流動性の向上,付着性防止,汚染防止
(d) 医薬 調剤の容易化,薬効成分の混合調整,薬効時期の調整
(e) 肥料,飼料 粉立ち防止,薬効成分の調整,互着防止,取り扱い性の向上
(f) 顔料,塗料,インキ 分散性の向上
(g) 洗剤 水や温水への溶解性の向上,秤量の容易化
(h) 触媒,活性炭 反応性の向上
(i) 産業廃棄物 再生利用の向上,廃棄の容易化


造粒装置の分類造粒の機構から以下のように分類できます。
(1) 分類T
(1) 乾式造粒 水やバインダー(結合剤)を使わず,材料の凝集力を高めて造粒する。
(ロールなどの圧力で粉体を圧縮する圧縮造粒などが相当)
(2) 湿式造粒 水やバインダー(結合剤)の付着力を利用して,造粒する。
((a)転動造粒,(b)噴霧乾燥造粒,(c)押出し造粒などが相当)

(2) 分類U
(1) 自立造粒 材料に圧縮などの外力を加えず,自然に凝集させ,造粒する。
(2) 強制造粒 ダイス,モールド,ロール,ブレード,ノズルなどの部品を用いて機械的に造粒する。
((a)圧縮造粒,(b)押出し造粒,(c)解砕造粒,(d)溶融/噴霧造粒などが相当。)

(3) 分類V
(1) 混合造粒 (a)転動造粒,(b)流動層造粒,(c)撹拌造粒など
(2) 強制造粒 (a)圧縮造粒,(b)押出造粒,(c)解砕造粒など
(3) 熱利用造粒 (a)溶融造粒,(b)噴霧造粒(乾燥)など


主な造粒方法主な造粒方法の原理と特徴,事例を示しています。

No 名称 構造 説明 外観写真
転動造粒  傾斜した浅い円形容器を40〜50°傾斜させ,10〜30rpmで回転させておき,粉体を供給するとともに,液体バインダを適量添加する。

 材料は転動しながら成長,造粒され,粒度分布のやや広い造粒物ができる。
金平糖
など

変わり玉
 傾斜したドラムを回転させ,ドラムの片側から粉体を供給し,片側からペレットとして排出する。

 
ドラム内には加水装置や,スクレーパ装置が必要となる。
化成肥料など
化成肥料 : 市販品
流動層造粒  下部から熱風を送り粉体を流動化しておき,上部または周壁部から液体バインダーを散布凝集させ造粒する。

 造粒物はポーラスで溶けやすく,形状は球状が多い。
タルク,炭カル,洗剤,ココアなど

洗剤 : 市販品
攪拌造粒

 粉体を1種類以上ミキサーに入れ,攪拌による混合を行った後,液体のバインダーを添加する。粉体が液に濡れ始めると徐々に造粒が始まる。

 造粒された粒子は攪拌羽根の粉砕作用によって,均一な粒度になる。


 2軸のスクリューの回転により混合攪拌しながら造粒を行う。
 
 小粒径のものを添加すると,それを核として,成長しやすい。  
汚泥ペレット
汚泥ペレット
圧縮造粒 <タブレッティング>
 シリンダー(臼,ウス)の中に粉体を充填しておき,上下からピストン(杵,キネ)で圧縮する。
 
 粒径が揃った密度の高い粒体(錠剤)が得られる。乾燥工程不要。
医薬の錠剤など
<ブリケッティング>
 回転する2つのロール間で粉体を圧縮する。
製錬・化学などの原料

豆炭

押出造粒  材料を回転するスクリュー部に供給し,加圧圧縮しながら強制的に前進させ,スクリュー先端またはサイドに取り付けたダイス(金網)の孔から材料を連続的に押し出す。

 先端から押し出すものは,スクリューが2本で,押出部がドーム型になっている(ツインドーム)タイプがある。


 多数の孔が開き,水平または垂直に設置された円筒型ダイスの内側に,2本のロールが配置されている。ダイスとロールの回転により噛み込んだ材料はダイス孔から押し出され,カッターで切断される。

 造粒サイズは,φ2.4mm〜φ16mm程度で,比較的硬い円柱状顆粒が得られる。
RDF,
PDF

RDFの例
破砕造粒 <乾式破砕造粒>
(1)脱気⇒圧縮により1〜7mm程度のフレークを作る。

(2)フレークを粗粉砕⇒粗粉砕⇒整粒の順番で,粉体にならない程度の粒体ができる。


<湿式破砕造粒>
 造粒可能なように,あらかじめ調整された材料を破砕することにより粒子を得る方法。 

 φ0.1〜0.3mm程度の微細顆粒ができる。


溶融造粒  原液を加圧ノズルを介して,塔頂から供給する。冷風をサイドから((1)),または塔頂から((2))供給し,排気側から微粉を回収する。

 
比較的大粒径粒子の製造に適している。 
@尿素,硝安。
A脂肪酸類。

BPA
(ビスフェノール)

プリル尿素φ2〜3mmの真球状
 プロパンガス等のバーナー火炎中に,SiO2粉体やAL2O3粉体を噴射,溶融させ,真球状粒子を作る。

 できた粒子を混合し,粒度分布を調整し半導体封止材の原料とする。
半導体用封止材
アルミナ粒子大きさは,
大きいもので約10μm


 水と親和性のない物質で,φ2〜5mm径に細滴化した溶融液を塔頂部から供給し,塔内を満たした水で冷却固化する。

 造粒品は約4%の水分を含むので乾燥が必要。
硫黄
 下部から冷却され,連続的に動いているスチールベルトの上に,多数のノズルから液滴を落とす。

 薄いシート状に冷却固化させた後,粉砕するものもある。
NaOH
KOH
エポキシ
樹脂

NaOH 扁平で,片側は丸く,
片側はフラットになっている。
<大きさ:φ6mm×高さ3mm>
噴霧造粒 <スプレードライヤー>
 向流または並流気流中に液状材料を噴霧し,液滴と気流との間の熱と物質の移動によって球状の粒子を得る。

 乾燥と造粒が同時に行われる噴霧乾燥法と,空冷などにより固化させる噴霧冷却法がある。工程が簡素で連続化,大量生産,品質管理に適している。

コーヒー粉末,
脱脂粉乳,
食塩,硫酸カリウム,硫酸アンモニウム


コーヒー粉末 市販の
インスタント粉末。
一部丸い粒子が混在。



プラスチックの造粒 合成樹脂からなるペレットとチップの一般的な造粒(製造)方法を以下に示します。
No. 形状 製造方法 説明 外観写真
ペレット  プラスチックを溶融し,多穴ダイスから押出す。
 押し出された樹脂は低粘度で,ダイス前面で回転するカッターにより一定の大きさに切断され
水中へ落下させる。
 ⇒粒子は,水中で表面張力により丸くなる。
PE,
PP
など

(低粘度樹脂)
チップ  プラスチックを溶融し,多穴ダイスから押出す。
 押し出された樹脂は高粘度で,うどんの様に細長い棒状となるので,これを水中を通し冷却した後,回転するカッターで短く切断する。
 ⇒角張った粒子ができる。
PET,
ナイロン,PC,
など
(高粘度樹脂)


                                         <参考文献>
                                              1. 「造粒便覧」,日本粉体工業協会編,1975,5 オーム社発行
      

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