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この浄照寺は室町時代の創建で,薬師如来が本尊です。普段は無住ですが,頼守(たのもり)という地域の役員が,毎週1回朝晩の掃除と般若心経の読経を欠かさないそうです。加えて,このお寺の横には神仏習合で美須美(みすみ)神社があり,その世話もしないといけないので,なかなか大変そうです。
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浄照寺と美須美神社(右方)の全景 |
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浄照寺本堂 |
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美須美神社 |
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この日は,本物?の住職を迎え,14:30に女人禁制で始まりました。
参加者は,村人の大人40人位と子供数人,+我々カメラマン(うち新聞社2社+県の教育委員会の人他)で,
全員が男性でした。
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住職を囲むように,頼守と区長,少し離れて,年長者から年齢の順に時計回りに座っています。 |
実はこの薬師如来は,乳薬師(ちちやくし)と呼ばれ,お乳の神様なのですが,「おこない」は,他所の通例にもれず,男性だけで行われました。それを象徴するかのように,前に飾られているものに男性のシンボルがありました(写真下中央部)!。
これは,米原市梓河内のもののように立派ではありませんが,壁土を酒で溶かしたものに立てられていました。
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おこないが始まる前の飾り付けです。
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お供えは,(a)しきみ(樒)の木や松の木の他に,(b)里芋や人参を半分に切り,顔などを描いて竹に刺したもの,(c)ゆでた大豆や(d)一味トウガラシがまぶされているゴボウ,(e)2升づきの餅,(f)小竹(←「おなご竹」と言うようです)を3等分し餅を巻きつけたもの,(g)子餅,(h)御神酒・・・等々。それらは,左右1対になっています。 |
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乳房の形をした奉納品 |
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同左(リアルです) |
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里芋や人参に顔が描いて
あります。白いのは餅。 |
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左は大豆をゆでたもの。
右は直立するシンボル。
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小竹を3分割し,餅を
まきつけてあります。 |
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餅を抑える4枚の板には絵馬が書かれています。 |
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小枝にふきのとうをつけてあり,ウグイスのように見えます。 |
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ゴボウに一味トウガラシが
まぶしてあります。 |
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お寺で行われる「おこない」では,各自持ち寄った細い棒で床や板戸をたたく事例が多いようです。
事実,住職が般若心経を唱え終わるやいなや,突然,全員が棒(=藤の枝)で床を激しくたたき始め,数分続きました。
その後,皮を剥ぎ,棒を丸めて,ある作り物の製作にとりかかりました。それは女性のシンボル?だとのこと。
なるほど女人禁制のわけです。これは全部で5個作られました。 |
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それが終わると,役員の方の『初献(しょこん)さしあげます』との挨拶があり,つまみとして(お供えの)大豆と一緒に御神酒がふるまわれました。そして『落ちはありませんか』に続いて『二献(にこん)さし上げます』で,今度はあの一味付きのゴボウと共に2杯目の御神酒です。
もちろんそれらは我々カメラマンにも同じようにふるまわれ,一気に仲間意識が芽生えることになりました。 しかし,一味つきゴボウの辛かったこと!
その後,先ほど作った女性のシンボル?を,お互いに転がし合っていました。
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「初献さし上げます」
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ま,ま,ど−ぞ |
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見るからに辛そうなゴボウ |
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作った輪の回しあいをします |
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次に,男性のシンボルの埋まった容器を大事に持ち上げ,2個の餅にポンポンとつけていき(下の写真),それが終わると,『べっとう』といわれるものに移りました。
これは,酒で溶いた壁土をハンコのように,全員の頭ポンと押し付けていくものです(写真)。住職から始まって,年寄りから子供まで全員です。もちろん我々カメラマンも断る権利はなく,最初は嫌がっていた無毛の人にも施されました(^^)。
それが終わると,占いと称して,『早稲(わせ)か〜?』,『中稲(なかせ)か〜?』,『晩稲(おくて)か〜?』などと言いながら,飛び上がって,柱の上の方にポンとハンコを押します。
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頼守がシンボルを手に持って・・・ |
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鏡餅にポンポン |
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毛のない人には
押しつけ易い(^^)/~ |
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引張り合いをします |
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その後は,長老が,今年の役員を描いた紙を読み上げ,『○○さん,頼守(たのもり)を引き受けて頂けますか?』『受けさせて頂きます』で拍手。
あと,2個の餅の引き取りについても同様なやりとりがありました。しかし,その餅を渡すのも,そのままスンナリ渡すことはせず,しきびごと餅を風呂敷でつつみ持ち帰ろうとするのを,他の人がわざと邪魔をするように引っ張る動作をします(写真)。
このようにして,ひととおりの儀式が終了しましたが,女人禁制ということで最初は驚きましたが,楽しいものでした。また,区長さんはじめ,皆様にはお世話になりました。ありがとうございました。
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